イラストレーター”本音”インタビュー第一回 しらたまoさん

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こんにちは、そしてこんばんは!所長です。
今回より、イラストレーターさんに本気インタビューをしていく『イラストレーターインタビュー』!

記念すべき第一回は、しらたまoさんです。当社のコンテンツである『GANG×ROCK』で、4人組バンド『ASTRAGLUS』のキャラクター制作をしていただきました。
プロとして活躍するまでのエピソードや、普段絵を描く上で気をつけていることなどをインタビューしました。
©︎GANG×ROCK project

Q1.イラストレーターになったきっかけを教えてください。

しらたまoさん:物心ついた頃から絵が好きでずっと描いていたので、きっかけというよりはこのまま絵を描く人になろうという選択肢しか考えていませんでした。
ただ、一つきっかけの様なものがあるとすれば、中学生の頃に職業体験で訪問した保育園で出会った女の子かもしれません。
その子はこちらが話しかけても何も返答を返して来ず、反応や表情も薄く、他の子供達と一緒に遊ぶ様子もありませんでした。

そこで、その子に私が簡単な絵を描いて見せてみました(何を描いたのかまでははっきりと思い出せないのですが、おそらく動物とかお花の様なシンプルな絵だったと思います。)
その後、しばらく他の子供達の相手をしていたら、先程の人見知りの女の子がこちらに駆け寄って来て「これあげる」と、たどたどしい様子ながらも自分の描いた絵を私にくれたんです。
「これはうさぎさんで、これはくまさんで…」と私にそれを嬉しそうに話してくれました。
先程と別人の様なその子の様子に驚き、とても嬉しい気持ちになった事を今でも鮮明に覚えています。

その子はきっと言葉で気持ちを表現するのが少し苦手だっただけなのかもしれません。
絵を通じてその子が心を開いてくれた事で、絵が持つ可能性を強く感じました。この経験は、私が絵を描き続けたい理由として今でも強く残っています。


Q2.しらたまoさんの名前の由来は?

しらたまoさん:すごく単純な理由で申し訳ないのですが、好物がお餅だからです。笑
あとは、ひらがなだと読みやすいですし、やわらかさがあって親しみやすいかなぁというシンプルな理由です。
しらたまoの”o”は、句読点の。の意味合いと、見た目が白玉っぽいという理由で付けています。
私より断然知名度の高い同じ名前のイラストレーターさんや、同じHNの方も沢山いらっしゃるので、oは、実は結構大事なアイデンティティなんです笑
これまで何度か違ったHNで活動していたこともあったのですが、基本お餅関連の名前が多かったですね。お正月が楽しみです…!



Q3.独立しようと思ったきっかけは?


しらたまoさん:結論を言ってしまうと、今の自分にはそれしか選択肢がないと思ったからです。
自分の性格上、仕事量や人間関係など、限界に気が付くまで無理をしてしまい最終的に身体とメンタルを壊してしまったことも大きなきっかけだと思います。
また、丁度私が休職中、同様に私の家族や身近な友人が過度な仕事量で身体を壊していたり、パワハラに遭っている現状を沢山見てきました。
皆とても真面目でスキルもしっかりとあり、仕事もおろそかにする様な人達でないだけに、この様な人たちが辛い目に合っている状況にずっと違和感と怒りを感じていました。
勿論すべての会社がそうでは無いと思っていますが、少なくとも現代はその様な会社も多いのだろうと感じ、このままではいけないなと思いました。

絵を描く環境と大事な人を、いざという時に守れる様になりたいと思いました。
その為にまずは自分に力を付けるしか無いと思い、その頃からフリーランスを意識して行動し始めたような気がします。
ここまでやや暗いエピソードを話してしまいましたが…この様な経験を経たことで見えてきた世界もあり、現在の創作活動にも影響を与えているので自分の中ではネガティブには捉えていません。
現在も通院・療養しながら、自分のペースでお仕事を続けることが出来ていますし、自由に時間を使えているので幸せです。
私の絵を見て下さっている方にももしかしたら同じ境遇の方がいらっしゃるかもしれないので、そういった方達に元気や希望を与えられるように今後も自分のペースで活動し続けていきたいなと思っています。


Q4.作品のインスピレーションはどこで得ていますか?

しらたまoさん:昔から、図鑑とかカタログを見るのが好きなんです。例えば【蝶】というジャンルでも色んな色や形の蝶がいますし、模様もそれぞれ違います。
【帽子】というジャンルでもキャップ帽やベレー帽、キャスケット、【時計】なら振り子時計、砂時計、腕時計と沢山のデザインがあります。
それらがずらりと並んでいるのを見ると、ヨダレが出るほど楽しいんです笑
私が通っていた大学の図書館に、世界中の美しいボタンだけが載った図鑑や、世界のエンブレムや城、美しいドアだけを集めたマニアックな図鑑なんかもあってそれを眺めてるのが好きでした。
一つのジャンルからこんなに沢山のデザインが生まれるんだと思うと、ワクワクしますしとてもインスピレーションを得られます。
あとは、外を散歩している時に何気なく気になった植物とか、怪しい裏路地とか神社を見つけるとすぐに見に行ってしまいます。なんとなく惹かれる雰囲気の場所ってあるんですよね。
私の場合は割と普段の生活の中で”いいな”と思ったものを頭の中にインプットして、それを創作に活かしているイメージだと思います。
本当はショッピングモールで洋服やアクセサリー、雑貨を見て回るのも好きなのですが今はなかなか行けないので、好きなブランドの通販サイトなどを定期的にチェックしています。


Q5.イラストはどのツールで描かれていますか?


しらたまoさん:現在はDELLのWindows10で、液晶タブレットはWacomのCintiq13HDを使用しています。
イラストソフトは、主にSAIを使用する事が多いですが、仕事のときはデータが重い関係上、CLIP STUDIOとAdobe Photoshopを併用しています。
PCももうだいぶ古くなってきたので、兄がイラストレーター向けのスペックにカスタムしてくれたものに近々買い換える予定です!



©︎Kiss of Darkness 製作元:株式会社ジーニアス様


Q6.仕事をする上で日々のルーティンワークはありますか?

しらたまoさん:かっこいいルーティンワークがあると良いんですが…最近はお昼寝とあつ森くらいしか今のところ無くて…ごめんなさい……(苦笑)
唯一まともなルーティンワークといえば、、毎日必ず自分の絵を見ることでしょうか。
例えば電車の中だったり、夜寝る前にベッドに寝そべりながら、iPhoneに保存した自分の絵をじっと観察しています。
やはり自分の絵が好きなので、見ていると気持ちが上がるんです。あとは、もっとここをこうしたほうがいいなとか、ここのバランスが崩れているなとか細かい部分に気がつくことができるので、大事な時間だと思っています。
なんとなくこの絵しっくりこないなぁと思う時は、暫く時間を置いてから絵を見返してみると結構発見があるのでオススメです。


Q7.描くのが好きなパーツはどこですか?

しらたまoさん:目元と口元が1番好きですね!個人的にはいちばん色気を感じるパーツです。
次いで、髪の毛です。重力を感じるおくれ毛や髪の流れを描くのがとても好きです。
おくれ毛のバランスによってぐっと色気が増すので、納得するまで描き直すこともよくあります。


Q8.仕事中のBGMをよければ教えてください!

しらたまoさん:仕事中のBGM、大事ですよね…!
私を知ってくださっている方は多分ご存じの方も多いと思うのですが、、重低音が大好きなので主にそういった曲を聴く事が多いです。
その時の心境や描いている絵に合わせて曲を選ぶので、しっとりした曲やアニソンを聴く事もたまにあります。
せっかくなので私がよく聞いているお気に入りのアーティストさんを挙げさせて頂きますね*
(これでも結構絞ったのですが、沢山あってごめんなさい…!)

作業に没頭したいとき▼
【lynch.】【DEZERT】【キズ】【SiM】【coldrain】【Slipknot】【Linkin Park】【Dir en Grey】など

しっとりまったり作業したいとき▽
【Plastic Tree】【やなぎなぎ】【女王蜂】【anNina】【キタニタツヤ】【Mili】など
※敬称略


<女王蜂公式サイトより引用>


Q9.好きなイラストレーターやデザイナーさんはいますか?

しらたまoさん:山本タカトさんと、ワカマツカオリさんは特に好きで、自分でも強く影響を受けたお二人かなと思っています。
どちらも画風はまったく違うのですが、人物の指先から表情の細部まで色気が漂っていて大好きです。
基本的に色気の漂う絵が好きなので…。
あとは、漫画を読んで好きになったのが大暮維人さんと小畑健さんですね。おふたりとも画力が神の領域だなぁと本当に惚れ惚れします。キャラデザもとても素敵です。
そして枢やなさん。キャラデザやファッションセンス、世界観がドストライクでしたね。黒執事は私が執事フェチになったきっかけの作品です。笑


山本タカトtwitterより引用



Q10.イラストを描く際のワンポイントはありますか?


しらたまoさん:どんなものでもよいので、自分だけにしか無い個性やこだわりを絵のどこかに潜ませる事は大切かなと思います。
規則性が無かったり、どこかに違和感や謎めいたものがあったりでも良いと思います。
何故この部分にこの色を置いたのか、何故このモチーフを選んだのかなど、不明瞭で謎が多いものほど人は想像力が掻き立てられ、惹きつけられると思うからです。
一目見て、これは〇〇さんの絵だ!と分かってもらえるレベルになれば大成功だと思いますし、私自身もそうなりたいと思っています。



Q11.ご自分のスキルアップはどうやってしていますか?

しらたまoさん:お仕事では、機会があれば自分の得意分野以外のお仕事なども積極的に受けるようにしています。
趣味ではどうしても自分の慣れた画風や構図に偏ってしまうので、敢えて自分の苦手なものに挑戦してスキルの幅を広げるように意識していますね。
悩んだりスランプに陥った時は絵の技法書や人体関連の本を読んで、人体構造やパースの知識を見直すようにしています。
また、描き慣れたモチーフであっても毎回必ず資料を見ながら描く様にしています。



Q12.イラストレーターへ目指す人へ、アドバイスをお願いいたします。


しらたまoさん:イラストレーターを目指す場合、”上手くなる”という事より”間違いに気付く”事の方が個人的には重要かなと思っています。
沢山デッサンや模写をすることも勿論大切なのですが、知識が間違ったまま続けていてはやはり効率が悪くなってしまいます。
お仕事では、クオリティはもちろんですがスピードが必ず求められます。
私も当初はたくさん描く程良いと思っていましたが、基礎知識の間違いに気付いてからの方が技術やスピードが上がったように感じました。
間違いを正せる=上手くなるということなので、やはり参考書等を読んで、基礎知識をつけることはお勧めします。
ここまでは技術面のお話でしたが…
イラストレーターと一口に言っても、様々なタイプの方がいらっしゃるのを見てきました。
お仕事では絵を描くけれど家ではあまり描かないという方も居ますし、自分の好きなコンテンツのイラストに関わりたいという方も居ます。
他にも背景のみや、モンスターを突き詰めて描く方、コミケなどのイベントと仕事を両立してる方も居ました。

上手くイラストレーターを続けている方は、そういった指針というか、自分に合ったバランスや軸というものをしっかりと持っていた方が多いように思います。
やはり、絵を描くことが好きという気持ちだけでは続けていけない世界なので、自分が特に描きたいものや自分に合った方向性やバランスをなるべく細かく分析する事をお勧めします。
そこの軸が定まっていれば、今やるべき事が自ずと見えてくると思います。
私はイラストのお仕事も個人の創作活動も両立したいというわがままなタイプだったのでかなり茨の道を選んでしまったと思って居ます(笑)
勿論大変ではありますが、それでも今はとても楽しく活動しています。
あまり上手くアドバイスが出来ず申し訳ありませんが…絵を愛してやまない、素敵な絵を世に出したいという強い気持ちのある方ならきっとなれると思います。
そういった方が沢山出てきてくれると嬉しいなと思います!


Q13.やってみたい仕事や新しい取り組みはありますか?

しらたまoさん:やってみたいこと、実は結構たくさんあるんですよね…笑
自分の絵と、他分野とのコラボなどは今後やってみたいなと思っていて、今色々考えていたりします。例えば絵×音楽、絵×アクセサリー、絵×動画などです。
その他にも、漫画も描いてみたいですし、オリジナルのゆるキャラグッズを作ってみたり、アパレルデザインなどもやってみたいです。
ちょっと欲張りすぎですが(笑)、興味のあることはどんどんやってみたいと思っています。
今の状況が落ち着いたら、ゆくゆくは自分の絵の個展を開催することも夢の一つです。かなりハードル高めですが、その際は是非、見に来てもらえたら嬉しいです。


– 本日はありがとうございました。
今回特別に新規で描き起こしていただきました!テーマは「創造と破壊」。

光と影、生と死、その狭間で苦悩し、救われていく登場人物にクリエイターは感じ入る部分があるのではないでしょうか…素敵なイラストをありがとうございました!


今回のインタビューはいかがでしたでしょうか?これからイラストレーターを目指す方、すでに第一線で活躍されているイラストレーターさん必読のとても読み応えのあるインタビューとなりました!クリエイターの端くれである所長も、初心に帰る気持ちです。まずはデッサンからまた勉強し直していきたいと思います!

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所長

所長です。アートディレクターやその他諸々を担当しています。 経歴:パッケージデザイン・DTPデザインをはじめとした、アプリやPCゲームのUIデザイン、ゲーム系イラスト制作、CG彩色、ロゴ制作などに従事しております。

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