ゼロからゲームを作り出す!社内イチのこだわりを持つディレクター【社員インタビュー第2回】

投稿者: 


先月から始まった連載企画「テクノアート社員インタビュー」。月に1回、1人の社員が登場して、実際の仕事内容や働くことのおもしろさを存分に語ります!

 

「イラストやゲームシナリオの会社ってどんな感じなの?」「デザイン制作に興味がある」と就職活動を考えている方はぜひチェックですよ。

 

<前回の社員インタビューはこちらから!>
目標は“あらゆる人のよりどころ”!制作進行を指揮するディレクターを直撃

 

 

第2回となる今日は、ゲーム制作を担当するディレクターの千田さんにインタビュー。シナリオ制作の裏側やこだわりを聞いてきました。

 

 

物語を考えるのが好き。ずっとその気持ちがあった

――現在のお仕事をすることになったきっかけを教えてください。

 

子どものころからよくマンガを描いていたんです。でも絵を描くより話を考えるほうが好きで、中学~高校では小説を書くようになりました。今見ると中二病というか、中高生にありがちな内容ですが(笑)。

 

 

大学では映画サークルに入り、そこでシナリオを書くようになって「小説よりシナリオのほうがおもしろい!」と気づきました。それからシナリオライターを目指すようになり、ライタースクールに行って勉強もしましたね。あるときテレビ局のドラマ班で働いていた先輩にシナリオを見せたら、「これいいじゃん、やろうよ」と言ってもらえて。

 

――それはどんなお話だったんですか?

 

ヒーローものですが、主人公は悪役のほうなんです。ふだんはサラリーマンをしていて、ヒーローから発注が入ると悪役として出ていって、やられて報酬をもらう……という設定でした。それでわからないなりに企画書まで書いて出したものの、結局は通らなかったんですよ。

 

ただ、そこでシナリオライターを諦める気にはならなかったです。ゲームもずっと好きだったので、ゲーム会社のシナリオライターも視野に入れて就職活動を始めました。ふだんはやらないようなゲームも買い集めて、いろいろ研究しましたね。乙女ゲームもかじってみたり(笑)。そこで就職した会社で所長や矢嶌(前回登場)と知り合い、テクノアートで働くことになりました。思い返すと、物語をつくるということは一貫してやり続けています。

 

 

役割は、ゲームを完成へ導くこと

――現在の仕事内容を教えてください。

 

クライアント様からいただいた注文をもとにクリエイターさんへ制作依頼を行い、イラストやシナリオなどの納品物をクライアント様へ納めるのが当社の業務です。制作ジャンルはデザインやゲーム、イラストなど複数ありますが、私は主にゲーム案件の統括ディレクターとして働いています。

 

クライアント様から「こんなゲームを作りたい」と依頼をいただいたら打ち合わせを重ね、先方の考えやイメージをしっかりヒアリングした上で企画書を作成します。それが通ったら各クリエイターさんとやり取りをし、制作をスタートさせます。

 

デザインやイラストをチェックすることもありますが、当社はアートディレクターもいるので、どちらかと言うと私はシナリオ部分に関わることが多いですね。シナリオライターさんへの指示出しはもちろん、場合によっては私もライターとして参加します。

 

シナリオが完成すると、声優さんの録音に立ち会うこともありますよ。音響監督の指示がゲームの雰囲気に合っているかどうかを見たり、「このセリフ、もうちょっと間を置きましょうか」などとディレクションに加わったりします。他にもBGMなど、完成に必要なことにはすべて関わる立場です。

 

 

――シナリオ制作はどのように進んでいくのでしょうか?

 

まずは話の大筋であるプロットをつくり、それをもとにシナリオを考えていきます。プロットはクライアント様からいただく場合もあれば、ライターの方にお任せすることもありますし、私が書くときもあります。

 

1本のシナリオに参加するライターは、ゲームの内容にもよりますが最大で4人ぐらい。ライターさんによってクセがあるので、その人に合わせた指示のしかたやコミュニケーションを考えるようにしています。

 

――仕事をする上で、心がけていることはありますか?

 

そのときどきの流行りがあるので、トレンドに敏感になる必要はありますね。どんなに忙しくても、毎日最低1時間はアニメやゲームに触れるようにしています。最近のアニメだと『3月のライオン』は毎週観ています。ゲームも行き帰りの電車内と家とで、常に2本は同時にプレイしているんです。

 

 

私はどうやら“作品運”がいいようで、制作中にどうしてもうまくいかない点があっても、たまたま見た作品で「あ、このキャラを参考にすればいけるかも」と思いついたりします。そんなふうに仕事のヒントにもなるので、ゲームやアニメ、マンガから情報収集する時間は欠かせません。

 

 

昼にはマンガ喫茶へ!目的はマンガ、ではなく…

――ここで、1日のタイムスケジュールを見てみましょう。

 

10:00~11:00 メールチェック
9:50頃には会社に来ています。メールのやり取りはそこまで多くないので、チェックし終わるのに1時間かからないときもありますね。

 

11:00~13:00 単発案件のディレクション
当社はシナリオだけを作り、キャラクターイラストなどは別会社さんで制作するというケースもあります。そのような単発案件は、この時間に取りかかります。

 

13:00~14:00 ランチ

 

まずマンガ喫茶に行って、15分ほど仮眠をとります。起きるとお昼休憩の半分ぐらいが過ぎているので、ごはんにはラーメンやカレー、牛丼などすぐ出てきてすぐ食べられるものを。おかげで食べるスピードはものすごく速くなりました(笑)。

 

14:00~18:00 統括案件のディレクション
時間のかかりそうな案件は午後に集中して行います。ときどき許可をもらって、喫茶店にこもって作業することもありますよ。

 

18:00~19:00 クライアントからの連絡・追加依頼に対応
19時までに終わらせるのは大変ですが、努力してなんとか時間内におさめています。

 

 

ユーザーからの生の声が喜び

――ゲーム制作をしていて嬉しいのは、どんなときですか?

 

自分が関わった案件がユーザーから高く評価されていると嬉しいです。「このキャラがかわいかった」「シナリオ、すごくいい話でした」と、生の声がダイレクトに伝わるのでやりがいを感じます。ときにはボロクソに言われることもありますが……それはそれで受け止めなければいけないですね。

 

制作中には「クライアント様が満足するように進めよう」となりがちなんですが、それではやはりダメ。制作した先にはユーザーがいるので、その人たちに「いいな」って思ってもらいたいです。クライアント様の話を聞くのは大事ですが、ただ単に従うのではなく、「こうした方がいいのでは」と提案することもあります。

 

 

――常にユーザーのことを考える必要があるのですね。

 

売上とレビューの内容は連動していて、高評価のレビューが増えてくると売上も伸びてくるんです。リリース当初は低評価が目立つこともあるんですが、しだいに良い内容のレビューが出てくると売上もアップしてきます。当たり前といえば当たり前ですが、そうなってくると嬉しいですね。クライアント様からも良い評価をいただけますし、モチベーションにつながります。

 

 

世に出すからには、納得いくまで突き詰める

――お仕事が大変なのはどんなときでしょうか?

 

制作も終盤になると、どうしても忙しくて余裕がなくなってきます。もちろんスケジュールは守っているのですが、「このセリフに変化をつけたい」「この動き、なんとかしたい」と、リリース直前まで変えたいところが出てくるんですよ。以前OKを出したところでも、テストプレイしているとやっぱり変えたくなって。

 

例えば、セリフを修正したいのに声優さんが撮り終わっていて修正できないときには、その直前や直後に新しく文を入れたり、他の部分を変えたりします。無理そうに見えても諦めずに、なんとか直せないかと工夫します。

 

終盤にそうなると大変ですが、いったん気になったからには、そのまま世に送り出すわけにはいかないです。もしかしたら、テクノアートで一番こだわるのは私かもしれないですね。

 

 

また、私とライターの間でイメージが食い違ってしまうときも大変です。イラストなら線を引いて「ここでお願いします」と視覚的に伝えられますが、シナリオは文字だけなので、どうしてもズレが起きやすいんですよね。難しそうなときは直接話してみるんですが、人それぞれ受け止め方が違うので、うまく伝わらなかったこともあります。

 

――そこは今後の課題だと考えられているわけですね。

 

上手に意思疎通ができないと修正も増えるので、リリース直前は特に切羽詰まってしまいます。まだ試行錯誤の最中ですが、丁寧にフィードバックを行って食い違いを減らせるようにしていきたいです。継続的に依頼できるシナリオライターも増やしたいですね。

 

 

ライティング能力より必要なものとは

――シナリオディレクターには、やはりライティング能力が必要ですか?

 

ライティング能力よりは、物語を考えるのが好きかどうかが重要です。書く能力はディレクションをしているうちについてきます。ゲームが好きならベストですが、とにかく物語が好きなら向いていると思います。

 

あとは、好き嫌いしないのも大事。「ゲームだけ」「アニメだけ」ではなく、ゲームやアニメ、マンガやドラマと幅広く興味を持てる、バランスのいい人が適していますね。視野が広いと「アニメではこう表現するけれど、ゲームではこうしたほうがいいよね」と比較できるんですよ。シナリオディレクターをする上で、そのバランス能力はとても大事です。

 

――では最後に、この先実現させたいことを教えてください。

 

RPGや戦略シミュレーションゲームの制作統括に関わりたいです。自分でも好きなジャンルですし、一時期は某戦国シミュレーションゲームで週に1回天下統一していたぐらいです(笑)。シナリオをつくるのは楽しいですし、統括ディレクターは全てに関われるのでやりがいがあります。これからもゲームを作り続けていきたいな、と思っています!

 

 

強いゲーム愛、シナリオ愛を感じるインタビューでした。子どものころから一貫している「物語を考えるのが好き」という気持ちは、それを仕事にしている今、ますます大きくなっているようですね。

 

テクノアートブログではこれからも、毎月1人にフォーカスした社員インタビューをお届けします。果たして次回は、どんな本音が聞けるのでしょうか?

 

The following two tabs change content below.
Avatar photo

さとうむか

WEBライター・編集として奮闘するゆとり世代。気になったもの、おもしろそうなものを記事にしてお届けします。ジャンルはクリエイターさん向けのものから、生活・仕事・雑学などなど広くやっております。

コメントを残す