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ノスタルジック・ブックスタンド【再掲載】〜東京古書店めぐり no.1 下北沢クラリスブックス
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2018.12.10
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投稿者: ムスビメ
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こんにちは、珈琲とサブカルをこよなく愛するライターのムスビメです。
今回から、東京の古書店をめぐるレポートを連載させていただくことになりました。
世界中のどんな年代の本でも扱うことのできる古書店は、新刊書店と違い、選書の仕方に制限がないからこそ、究極の「好き」を形にするという圧倒的な情熱によって形作られています。
何かものを創っている人なら、誰もが「好き」を形にし続けることの難しさを痛感しているはずです。では、古書店では、どうやって「好き」を形にしているのでしょうか。この連載では、東京の個性的な古本屋さんをめぐり、お店の特徴や魅力をお伝えすることで、「好き」を形にし続けることへの情熱などを、何かしらのヒントになればと思います。第一回目にご紹介する古書店は、下北沢にあるクラリスブックスです。
ゆるやかにカーブする一番街商店街を道なりに進むと
ふと目を引くカラフルなお花屋さんの向かい
よく日の当たるビルの2階にクラリスブックスはあります。
ビル右手の小さな路地にある、「本」とだけ書かれた看板が目印。
看板の奥をそっと覗き込むと、水色の壁がお店のある2階まで続いています。
クラリスブックスは小さなお店です。
たくさんの本が置かれているわけではないぶん、厳選された素敵な本たちが、お行儀よく並んでお客さんが手に取ってくれるのを待っているような印象を受けます。
『のだめカンタービレ』と、80~90’sの少女雑誌「オリーブ」が、同じ棚に無造作に置かれているかと思うと・・・
その後ろのガラスケースには、20世紀で最も偉大な写真家と言われるフランク・ロバートや、70年代の「ニューカラー」ムーブメントを代表する写真家ジョエル・マイロウィッツ、少女の脆さと艶めかしさを捉えたポートレートで著名なヘレン・ファン・ミーネの写真集。
アートやデザイン、サブカルチャー、海外文学など、下北沢らしい本たちに混じって、哲学の棚が充実しているのは、店主の高松さんが大学で哲学を専攻されていたからだそう。
プラトン、ルソー、ニーチェやマックス・ウェバーなど、手に取りやすい入門書が並ぶ中、中世の画家フェルメールと哲学者スピノザの関係を著した『フェルメールとスピノザ』と芸術評論家でもあった19世紀の哲学者『ヴァルター・ベンヤミン』が並んでいるなど、芸術論好きには嬉しくなる素敵ポイントも。
高松さんがお好きだという映画の棚も充実しています。
最初は、幻想文学を充実させようと思っていたのだそうです。
「どのくらい理想のお店を実現できてますか?」と伺うと
間髪入れずに「全然です」との答え。
古書店は、本を売ってくれる人とのご縁で棚が作られていく。
例えば、ゴジラやウルトラマンなどの古い特撮関連の本が集まった棚は、下北沢のある小田急線沿線に円谷プロ関連の仕事をしている人たちが多く、だんだん集まってきたために作ったコーナーなのだとか。
(なので、ここに並んでいる本たちは、ゴジラやウルトラマンを作ったクリエイターたちが実際に使っていたものなのです・・・!)
求めていたジャンルではない本が入ってきたなら、それを柔軟に受け入れて、現状と溶け合わせて新しい棚を作っていく。
理想のお店に近づいたり離れたり、どうやったらお客さんが手に取ってくれるか悩んだり。
「好き」を形にするために、日々葛藤しながらお店の棚を作っているのだそう。
「行き場のない本をできるだけ作りたくない」との思いから、どんな本でも引き取って、本の生きる場所を見つけようとしていると言うエピソードからも、本への深い愛情を感じました。
この世界には、いろんな仕事があって、極端に言えば、武器を作って売るような人を不幸にしてしまうような仕事も存在する。
だけど、本を売って生きるということは、絶対的に人を幸せにすることができる。
「いい仕事をしていると思うんです」と高松さん。
必要としている人に届けたいという真摯な思いから、オンラインショップでの販売や、読書会などのイベントなど、本を好きな人に見つけてもらえる工夫もされています。
本と人への深い愛情を感じることのできる、小さな隠れ家のようなお店です。
この素敵な人や本たちに出会いに行ってみてはいかがでしょうか?
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Data
クラリスブックス
〒155-0031
東京都世田谷区北沢3-26-2-2F営業時間
平日 12時-20時
日曜祝日 12時-19時
定休日 月曜日 (祝日の場合は営業)
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本と珈琲をこよなく愛する、どこにでもいるサブカル女子です。WEBから紙媒体まで幅広く執筆中。日常の小さな素敵に目がありません。映画、ドラマ、小演劇、文学など、物語のあるところをテリトリーとしています。最新記事 by ムスビメ (全て見る)
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