ノスタルジック・ブックスタンド〜東京古書店めぐり no.4 古本ほん吉(下北沢)

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昨今、SNSを中心に#MeTooのムーブメントが議論を呼んでいます。
とてもショッキングな告白が多く見られますが、その本質は、私たちが日常に感じる様々な生き辛さを変えていこうという意思なのかもしれません。

 

社会の当たり前の中に息苦しさを感じた時、何も押し付けずに寄り添ってくれる救急箱のような古書店。
今日は、そんなお店をご紹介します。

 

 

ごはんの炊き方から人生の危機まで

下北沢駅南口を降り、ヴィレッジバンガードや小劇場の並ぶ活気ある街並みの中。

静かな路地裏に、今日のお店、古本ほん吉があります。

 

 

ほん吉は、今までにご紹介したお店とは、ちょっと雰囲気が違うかもしれません。

 

お店の作りは、とても無造作。
高い天井と打ちっ放しの壁に囲まれた店内に簡易な書架が並んでいて、所狭しと本が詰め込まれている様は、なんでも来い、という肝っ玉母さんのような懐深さを感じさせます。

 

 

「ほん吉」って可愛い名前だなと思っていたのですが、おみくじの「大吉」にあやかったのだそう。
近所の子供が店の前を「ほん吉ーーー!」と叫びながら走って行ったりするそうで、街の人からも愛されていることを感じます。

 

「ごはんの炊き方から人生の危機まで」をコンセプトとし、社会や自分について考える友となる本、生活を豊かにする本を広く扱っているそうです。


お店に置かれている本たちは、基本的にはノンセレクト。
「お客さんは自分で読みたい本を自分で見つけ出す力があると思っているし、本にはもちろん人を引き付けるパワーがある」との考えからだそう。
そのため守備範囲がとても広く、いろんな分野、年代の本が置かれていて、お宝を探し出す情熱を焚き付けてくれる、本の虫には堪らない空間です。

 

下北沢らしく、古いサブカルチャー関連の資料、戯曲、舞台芸術、60-70年代フォーク・70-80年代日本のパンク・80-90年代バンドブーム関連の書籍やミニコミが充実しているほか、精神医学や非西洋医学関連の専門書、フェミニズム、女性学、女性史、ジェンダー、セクシュアリティ、リプロダクティブライツなどに関する本、当事者研究の本が特に充実しています。

 

 

 

 

 

 

「いやだ」をいいつづける人が、ひとりぼっちにならずにひとりになれる本屋

ほん吉の最大の特徴は、特にジェンダー関連の本がお店の軸として置かれている点です。

 

店主の加勢さんは「どうして男女で社会からの要請が異なるのか」と悩んだ時、その疑問がどんな社会背景で生まれてきたものなのか、古書を通して俯瞰できた体験に救われたのだそう。

 

息苦しくて人といるのが辛くなった時、同じように悩んできた人によって書かれた本が、時間も場所も超えて、寄り添ってくれる。

そんな実体験から、日常の些細な「男ならこう、女ならこう」という「かくあるべし」への窮屈さを感じている人たちへ、希望を繋げたいという信念で、本を集めてこられました。

 

 

 

 

世の中で何の疑いもなく受け入れられてきた「これまでの当たり前」に「いやだ」ということは、とても怖いし勇気のいることです。
でも、どんな時代にも「これまでの当たり前」があって、のちの時代になればそれが明白に理不尽だったりもすること、そんな理不尽に「いやだ」と声をあげ、道を切り開いてきた人たちがいることを知れば、ちょっとだけ自分を肯定することができるはず。

 

「本は友になり、杖になります。次の読み手がいます。ぜひ大切な蔵書をお譲りください。」
お店のホームページには、決意を感じさせる、こんな力強い言葉が載っています。

 

優しくあったかく、闘いながら道を切り開いていっているお店です。

何かを変えたくなった時、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

DATE

 

古本 ほん吉

 

【住所】
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-7-10 上原ビル1F-1号

 

【お店までの道のり】

*電車
下北沢駅を下車し、南口をおりて、すぐ左のガードをくぐって線路沿いに歩く。
大きいスーパーのオオゼキで右折。
本多劇場のたてものの端で左折。
パンダの薬局で右折。

*バス:茶沢通りの「北沢タウンホール」バス停留所でおりて、停留所の建物の脇道を入ってすぐです。(タウンホールの正面入り口前)

 

【営業時間】
12:00~21:00

 

【定休日】
火曜日

 

HP http://d.hatena.ne.jp/honkichi/
twitter https://twitter.com/hon_kichi

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ムスビメ

ムスビメ

本と珈琲をこよなく愛する、どこにでもいるサブカル女子です。WEBから紙媒体まで幅広く執筆中。日常の小さな素敵に目がありません。映画、ドラマ、小演劇、文学など、物語のあるところをテリトリーとしています。

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