「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」感想と考察 宿敵と親友編

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どうも~、映画大好きマンAzです。

シンガーソングライターの徳永英明さん(55)がもやもや病で、開頭手術を受けていたことが分かりました。

もやもや病とは、脳にある太い動脈がつまり、その周りから足りない血液を補うための細い血管が発達する、原因不明の難病。
細い血管たちが「もやもや」しているようにみえることからついた病名です。

6時間にも及ぶ手術は無事に終わったそうで、徳永さんは4月から活動再開予定とのこと。
もう一度、あの美声が聞けるのを楽しみにしています。


SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁
大ヒット中!


前編 後編 に続いて、今回は「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」(原題: The Abominable Bride)の感想と考察、宿敵と親友編です。

公式サイトはこちら 「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」公式サイト

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© 2015 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:公式Twitter

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!ATTENTION!
※この先ネタバレあり!自己責任でお読みください!※

 


宿敵モリアーティの存在


さて、この物語はそもそも、シャーロックがモリアーティの生死を「忌まわしき花嫁事件」を通してマインドパレス内で確認するという話でした。
つまり、花嫁たちのトリックいかんによっては、モリアーティが生きている可能性があったということです。

廃教会でカーマイケル夫人と思って話しかけた人物は、なんとモリアーティでした。
マイパレ内のウイルスは、再びシャーロックを惑わせようとしてきます。
全ては君の頭の中の出来事なんだから、真実なんて分からないよ、と。

しかし、花嫁のトリックはモリアーティには使えませんでした。
なんせ実際の彼は、シャーロックの目の前で頭を撃ち抜いたわけですから。

SHERLOCKシーズン2

© 2011 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン2

そして、シャーロックは二度目の現実パートへと飛びます。

花嫁=モリアーティとして考えると、ここでシャーロックが掘り返していた墓は、エミリアのものではなくモリアーティのものだったとも考えられます。

シャーロックのことだから、実際にやった可能性も大いにあり得る。うげ……
で、死体は確認したものの、それでもまだトリックがあるのではないかと疑っていた。
なので、もう一度それを確かめるためにマイパレ内でも掘り返してみたけれど、やはりトリックの痕跡はなかった。

こうして、ようやくシャーロックは、モリアーティが生きているかもしれないという疑いの原因、襲いかかってくる亡霊こそ自分の中のモリアーティというウイルスだったと確信したのではないでしょうか。

そして、いよいよクライマックス。
ヴィクトリアン・ホームズに戻ったシャーロックは、ライヘンバッハの滝の前で、宿敵モリアーティと対峙します。シャーロキアンでなくともここは鳥肌ポイント!

シャーロックはこのシーンで、モリアーティ自身に「僕はウイルス」と発言させているので、先程の仮説はここで成り立つことになります。

ちなみに、花嫁姿のモリアーティもすでに自分の存在が現実ではなく、シャーロックのマイパレ内で作り出されたものとして語りかけてくることから、すでにこの時点で、現実のモリアーティの死をほぼ確定させていると思われます。墓堀りは最終確認ってところ?

しかし、それでもまだ、モリアーティはマイパレ内でシャーロックの足を引っ張り続けます。
死してなお、モリアーティはシャーロックの宿敵として、根深いつながりを解こうとしないのです。


親友にしてヒーロー ジョン・ワトソンの存在


シャーロックは、マイパレ内のストーリーテラーをジョンに託していました。

もちろん、ここは聖典を踏襲している部分でもありますが、一度目の現実パートで「ジョンの目を通してみると、賢くなった気がする」とシャーロックは言っています。
ブログを読みながらのマイパレだったので、そのまま語り手がジョンになったわけですね。

今さらな話ですが、自分を色メガネでみることなく素直に認めてくれるジョンは、シャーロックにとって、とっても大事な存在です。

SHERLOCKシーズン1

“Blilliant” はじめからジョンはほめてくれてたね
© 2010 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン1

例えば、シーズン3で結婚したジョン。
ヴィクトリアンパートでも、ワトソンはすでに結婚しています。

SHERLOCK忌まわしき花嫁

© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!

シーズン3でのジョンは、それまでよりはシャーロックと一緒に行動していませんでした。
しかし、ヴィクトリアン・ワトソンは、メアリーを置いてほとんどホームズの傍にいます。

また、最初の221Bでのシーン。
自分は結婚式(シーズン3第2話)でふたりのために作った曲を弾きながらワトソン夫婦をケンカさせたりと、彼らを若干、不仲な関係にしています。最終的には仲直りさせていますが、実際にジョンとメアリーの間には遺恨もあったのでそれも投影してるのかな?

そして、ワトソンのいない部屋で彼に話しかけている姿をみると、シャーロックにとってジョンが自分のそばにいないということが、いまだに大きな影響を与えているということが分かります。

二度目の現実パートでジョンがメアリーと立ち去るのは、自分の元から離れていったジョンを表わしているのだと思うと切なくなります。

医学の分野では相当に彼の腕と知識を認めていつつ、ディオゲネス・クラブではおまぬけなワトソンを登場させるなど、シャーロックが普段ジョンに抱いているイメージはこんななんだなと微笑ましく思えるシーンもw

SHERLOCK忌まわしき花嫁

© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!

後編 で書いたように、女性に対する自問自答にジョンを使うことからも、シャーロックは彼に相当心を許しているのがうかがえます。とはいえ、この部分はマイパレ内のジョンにすら素直に答えられない深い闇。

ヴィクトリアンパートと現実パートをいったりきたりするほど、マインドパレスに深く潜ってしまっている状態に、怒りという表現で警鐘を鳴らす役もジョンとワトソンでした。
ジョンが自分のことを心配してくれるということは願望というよりも事実なので、そこはちゃんとシャーロックも分かっているようで安心です。

……こうみると、ジョンはお前の恋人か、と言いたいくらいに、シャーロックはジョンが大好きですね……シャーロックったら……。

一方、ジョンが自分のことをヒーロー視することには不満があるようです。
ワトソンのせいで世間がそれを求めている、と口論になるし、シーズンストーリーでも自分はヒーローではないという発言をしていました。

SHERLOCKシーズン1

© 2010 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン1

シャーロックは結果そうであれ、ヒーローというつもりではなく、大抵は自分の欲を満たすために謎を解いているわけなので、その行為を善行のように思われるのが後ろめたいのではないでしょうか。
さらに、ヒーローにされた自分と現実の自分、そのギャップでジョンに落胆されないよう予防策を張り、必要以上に評価をあげないようにしているのでは。

それは、他人にはどう思われようとも気にしないシャーロックの、ジョンに対する好意がそうさせるのだと思えてなりません。

また、シャーロックは恐らく、ヒーローの名にふさわしいのは自分ではなくジョンだと思っているのでしょう。

だって、あの滝のシーン。
揉み合うホームズとモリアーティ、あわや崖から落とされそうになる危機的状況下、それこそヒーローの如く、ジョン・ワトソンが颯爽と登場!

これをヒーローと言わずして、なんと言う!?

ついでに、いつもふたりなんでね、なんて言わせちゃったりしてるし。モリアーティには駆け落ちすれば、なんて……、……シャーロック???

聖典では、ライヘンバッハの滝での二人の戦いに、ワトソンは間に合っていないんですよね。
見物に立ち寄ったライヘンバッハの滝で、結核の病人を看て欲しいという手紙が届き、ひとり、その患者の元へ向かう聖典ワトソン。
それが嘘だったことを知り、急いで聖典ホームズの元へ引き返すも、時すでに遅し。
滝へと向かう道には、二組の足跡しか残っていなかった、というのが聖典でのお話です。

聖典ライヘンバッハの滝

 

 

シーズン2のジョンも、バーツの屋上から飛び降りるシャーロックを止められませんでした。

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© 2011 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン2

しかし、このヴィクトリアン・ワトソンは間に合ったのです!
つまりはシャーロックではなく、彼の中のワトソン=ジョンがシャーロックを救うべく、モリアーティに勝った瞬間なのでした。僕のターンって言ってたのはそういうことだよね?

シャーロックも現実に戻るため、生きるため、今回はジョンに助けてもらいたかったんですね。

あとですね、わたしが一番言いたいのはですね、マイパレの一番奥の奥底にいたのはやっぱりジョンだったんだ、ということ。

モリアーティじゃなくて、ジョンだったんだよ!

しかも、生死の疑惑は晴れたのにも関わらず、まだシャーロックの中に存在し続けるモリアーティの呪縛から、ジョンが解き放ってくれたんだ。

シャーロック、君は、どれだけ、
ジョンのことが、大好きかっ!

あのまま落ちていれば、モリアーティの言う通り滝壺へ「着地」して、マイパレ内から永遠に抜け出せなかったことでしょう。
それを、目覚める手段として使えるようにしてくれたのは、他の誰でもない、ジョンだったのです。

そして、マインドパレスから抜け出し、現実に戻ったシャーロック。
これにて、僕のジョンが最強!物語は幕を閉じるのです(違う)

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僕の考える最強のジョン!……あ、ここ違ったw
© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!


余談も余談 穿ちすぎる深読みをしてみる


さて、ここからは深読みターンです。

滝から飛び降りるシーン。
シャーロックは再びジョンを置いて、ひとりで身を投げます。
見送るジョンは何もしようとせず、ただ見送るだけ。
慌てることも、声を上げることもありません。
ここに、シャーロックの本音が見えた気がしました。

必要があればシャーロックはまた、ジョンを残して飛び降りるのではないか
もう一度同じ状況になったとして、ジョンには黙って見送ってほしいと思っているのでは。

大切な人を守る為とはいえジョンを傷つけた結果、彼は自分の元からいなくなってしまった。
シャーロックはそのことをきっと、心の奥底で後悔しているのではないでしょうか。
飛び降りる自分を落ち着き払った様子で見送るジョンの描写が、ジョンに自分の行動を許してもらいたいと願っているようにみえました。

さらに、超深読みをしてみます。

シャーロックはジョンの結婚自体については受け入れられた、がしかし、ふたりの子供ができたことは、この時点ではまだ受け入れることができなかったんじゃないでしょうか。
メアリーはワトソンの妻として登場させているのに、子供の影はひとつも出てきません。
ヴィクトリアン・メアリーの役どころとして邪魔だった、ということもあるとは思いますが、シャーロックの中では少なくとも、自分にとっては必要のないもの、という位置づけのように思えます。

そしてさらにさらに深読みをしていくと、「忌まわしき花嫁」というタイトル。

シャーロックにとって、一番身近な花嫁は誰でしょう……?

お分かり頂けますでしょうか……。

あと、どうでもいい小ネタですが、シャーロックは意外にあの鹿撃ち帽を気に入っているんですかねw
廃教会に向かう前にもワトソンにこれだって渡されて素直に被っていたし、滝でも投げられた帽子を嫌がらずに被っていました。
ほんとどうでもいいですが、なんだかちょっと嬉しかったですw

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素直に被ります
© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!

 


いろんな視点で繰り返し楽しもう


ラストシーンの解釈も様々。

現代版「SHERLOCK」全てが実はヴィクトリアン・ホームズの想像の話だったと考えるのも面白いですし、もちろんシャーロックのマイパレ内での出来事に過ぎないのかもしれません。
もしくは、別の時間軸でのホームズなんていう考え方も出来ますよね。

私が思うに、あのラストのヴィクトリアン・ボーイズは、実際に存在するホームズとワトソンであって、きっと事件解決後にああやって本当に語り合っていたのではないでしょうか。

ビクトリアンボーイズ

© 2016 BBC 出典:BBC one SHERLOCK

薬物の影響で現代のシャーロックがヴィクトリア時代にトリップしたように、ヴィクトリア時代のシャーロックもきっと未来にトリップした。
今回の物語は現代のシャーロックの頭の中で綴られたものだったので、過去の彼らが体験した実際の「忌まわしき花嫁」事件の詳細は恐らく知りえませんが、きっと今回のように心躍る最高のケースになったことでしょう。

それがたとえ、世間的には失敗した事件として知られることになったとしても。

そして時代は続きます。
繰り返すのかもしれません。
はたまた、別軸では同時に起こっているかもしれません。

でも、なんにせよ、過去も未来も、別の時軸でだって、彼らは彼らに変わりありません。
いつだってシャーロックとジョンは、親友で、相棒で、最高のパートナーなのです。

SHERLOCK

© 2016 BBC 出典:BBC one SHERLOCK


いかがでしたでしょうか。
長丁場になりましたが、最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

ひとそれぞれ、解釈の違いはあると思いますし、だからこそ、そういったものを見つけて読んだり聞いたりするのもとても面白いものです。

ここはこうなんじゃないの?
こう考えるのも面白いよ!

なんて意見がありましたら、ぜひコメントいただけるとうれしいです。
あれこれみんなで語りながら、もう一回劇場で観直し、次に来るシーズン4を今か今かとやきもきしながら、首を長くして待とうではありませんか!

それでは、公開終了までに何回観れるか、記録をのばしてきたいと思います。
映画館へゴー!

Azでした。

※ベネディクト・カンバーバッチ出演の映画・舞台について、他記事でも触れています。チェケラッ!

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「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」

時は1985年のロンドン。死んだはずの女性が生き返り、夫を殺すという背筋の凍るような事件が起きた。その女性は花嫁の格好をしていたという。「忌まわしき花嫁事件」の幕開けである。そんな中、ベーカー街221Bに住むシャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの元へひとりの依頼人がやってきた。カーマイケル夫人は夫の様子がおかしい理由とその真相を明かしてほしいと言う。彼女の夫が呟いた名は、エミリア・リコレッティ。そう、あの「忌まわしき花嫁事件」に繋がる依頼だったのである……。

 

監督ダグラス・マッキノン(英語版) 脚本スティーヴン・モファット、マーク・ゲイティス 原作アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズシリーズ」
制作総指揮スティーブン・モファット、マーク・ゲイティス、ベリル・ヴァーチュー(英語版)
出演者ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、マーク・ゲイティス、アマンダ・アビントン、ルパート・グレイヴス、ルイーズ・ブリーリー、アンドリュー・スコット

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外部ライターのAzです。洋画・洋ドラの情報発信を中心に、世の中の興味あることをゆるく適当に書いていきます。

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