「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」感想と考察 後編

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こんにちは、映画大好きマンAzです。

ついに、ついに獲りましたね!
レオナルド・ディカプリオ、念願のオスカー!!!

その瞬間をリアルタイムで観ようと、私はTVの前を陣取ってアカデミー賞の中継を観ていたはずだったのですが、気が付いたらいつの間にか寝落ちておりました。Oh……
幸い、録画もしていたので、あとでゆっくり授賞式の模様はチェックいたしましたよ。
いやはや、「レヴェナント:蘇えりし者」の日本公開が待ち遠しい~!

個人的には「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の6冠も最高に熱い結果でした!
V8!V8!V8!V8!


「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」
絶賛公開中!


さてさて、大変お待たせいたしました。

前編 に続き「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」(原題: The Abominable Bride)の感想と考察、後編です。

公式サイトはこちら 「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」公式サイト

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© 2015 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:公式Twitter

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!ATTENTION!
※この先ネタバレあり!自己責任でお読みください!※

 


さらに沈んでいくシャーロック


まさかの夢オチならぬ、マインドパレスオチだった、ヴィクトリアン・ホームズ。

と思いきや、現代のジョンやマイクロフトとの会話の最中に、シャーロックは再びヴィクトリア朝に舞い戻ります。
現実に戻ったように見せかけて、実は未だマインドパレスの中だったという展開に、わたしたちはもう一度驚かされるのです。

しかも、その現実パートが”ヴィクトリアン・ホームズのマインドパレス(以下マイパレ)の中だった”という描写なので、うーん、とってもややこしい!

SHERLOCKシーズン3

現実っぽいけどほんとはまだマイパレ中
© 2014 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン3

ここで、ヴィクトリアン・シャーロック自体が現実のシャーロックのマイパレの中の出来事として考えると(ええい、ややこしい)、この現実パートが出てきたということは一見、薬物の影響が薄れ、幻覚から覚めてきたからのようにも見えます。

でも、よくよく考えるとこれって逆なんですよね。

マイパレ内のジョンとワトソンがものすごい顔でブチ切れるくらい、かなりの量の薬物を摂取しているわけだし、モリアーティまで出てきちゃってるわけだから、大分深いところまで沈んでいっているのは 前編 でも話した通り。

SHERLOCK忌まわしき花嫁

このあとめちゃくちゃキレた
© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!

それなのに、いきなりヴィクトリア朝から現代に飛び、それを無理矢理にホームズのマイパレ(というか薬物での幻覚というか)だったという形で話を戻しています。

つまり、マイパレ内でヴィクトリア朝という舞台が保てなくなっているということ。
モリアーティという障害=ウイルスの影響も合わせて、シャーロックはこの辺りから段々とマイパレを理路整然と制御できなくなってきているのです。

証拠に、二度目の現実パートでは現実設定であるはずなのに、掘り返した花嫁のミイラが動き出すというあり得ない事態まで起こっています。

SHERLOCKシーズン3

この時にはすでにキメていたのかシャーロック……
© 2014 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン3


シャーロックの女性に対する深層心理


「忌まわしき花嫁事件」の犯人は「女性」でした。

……ここはポイントですが、犯人は決して婦人参政権者ではないんですよね。
もちろん、社会主義者でも、反政府主義者でも、スコットランド人でもなく。

当然「女性」という意味には婦人参政権者も含まれますが、もっと大きな括りなんですよ。
「女性にも参政権をー!」って理由で殺してったわけではないですからね。

女性の地位の低さ、社会参加できず、男性を支えるだけの役割を与えられ、なお虐げられてきた恨み、怒り、悲しみ。
「女性」そのものが犯人で、だからマイクロフトも負けなければならない相手と言っていたんですね。

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頭巾の下は……
© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!

シャーロックには元々、女性蔑視のきらいがありました。
しかし、この物語では女性を認め、また、畏怖している部分が見えます。

ヴィクトリアンパートにおいて、メアリーには犯人の隠れ家を探し当てさせ、現実パートでもMI5のセキュリティを突破させるなど、決定的な役割を持たせていますね。

元々、本当の現実でもメアリーに対しては高く評価している部分が見受けられていたので、彼女のことは実際に認めているよう。
廃教会に向かう馬車の中でもワトソンに向かって、いい妻を選んだ、と褒めていました。

SHERLOCK忌まわしき花嫁

© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!

また、このスペシャルでははじめ、男装で登場したモリー。
男性社会の中で生き抜き、かつ犯人グループのひとりという、強い意志を持った役を演じさせています。

シャーロックの中で、彼女に対しての考え方がそれまでと変わったのでしょう。
今まではみようともしなかった(もしくは興味のなかった)彼女の本当の姿は、しっかりと自分を持った芯の強い女性だったのだと感じているようです。
それは、シーズン3での平手打ちモリーがフラッシュバックすることからも想像できることです。

SHERLOCKシーズン3

ナイススイング!
© 2014 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン3

それから、現実でシャーロックが騙くらかしたwジャニーンも、しっかりと登場。
彼女を傷付けてしまったことさすがのシャーロックも分かっているようなので(シーズン3病室のシーンなどから)、これは完全にシャーロックなりの謝罪。

個人的にジャニーンはさばさばしていて好きだったので、出てきたときはちょっと嬉しかったですw

SHERLOCKシーズン3

© 2014 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン3

そしてもうひとり、忘れてはいけない人物がいます。
そう、“あの女”アイリーン・アドラー。

この「忌まわしき花嫁事件」では役を与えていないにも関わらず登場させてくることから、シャーロックにとって、彼女はやはり特別な人物だということが分かります。

彼女を語らせるのに親友であるジョンを使い、会話形式として演出していますが、要するに自分にとっての彼女の重要さ、ひいては自分の女性観を自問自答しているシャーロック。
大事に懐に持ち歩いていた写真は、ヴィクトリア朝には変換されていない、現代の、現実のままのアイリーンでした。

SHERLOCKアイリーン・アドラー

© 2016 BBC 出典:BBC one SHERLOCK

ここではアイリーンの流れから、何故シャーロックが頑なに女性を拒むのか(ジャニーンは利用する為だったので別として)についても言及しようとしています。
が結局、核心には至らなかったことから、かなり根深い理由があるのがうかがえます……。

余談ですが、この辺、実はシーズン4へのなんらかの布石なんじゃないかなー、と勘ぐってみたり。
女性、もしくは対人に関するシャーロックの言動のきっかけみたいなものが、次シーズンで明かされるんじゃないかとか……ね……。

また、同じシーンでふいに犬の鳴き声のようなものが聞こえてくるのですが、その声を聞いたシャーロックは「赤ひげ(Redbeard)」と呟いているんですよ!字幕にはありませんでしたが
赤ひげの話はシーズン3で登場しますが、このスペシャルでもここ以外に、ラスト近くで映るマイクロフトの手帳にしっかりと書かれています。

これも……シーズン4への……布石……なのか……?
それともアイリーンと同じくらいの深度に赤ひげもいるよっていうただの説明……???

SHERLOCKシーズン3

マイパレの中の赤ひげ
© 2014 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン3

そういえば、一度目の現実パートでシャーロックにあいさつにくる機長はリコレッティ夫人でした。
このシーンはもちろんマイパレの中ですが、実際の機長も彼女だと推測されるので、シャーロックはそこからも配役しているという描写は面白かったです。
あと、ここは制作側もジェンダー的な意味を込めて、女性機長としたのかなと思ってみたり。これは考えすぎかな?

SHERLOCK忌まわしき花嫁

めっちゃ怒ってるカーマイケル夫人。シャーロック怒られてばっかりだな
© 2016 BBC 出典:Watch the trailer for the Sherlock special!


兄と弟


一度目の現実パート、飛行機内のマイクロフトは、いつもよりシャーロックに対して優しいと思いませんでしたか?
ごく一般的な、弟を思いやる普通の兄に見えました。

しかし、お分かりの通り、一度目二度目の現実パートはシャーロックのマイパレ内です。
要するに、シャーロックの心の中。
普段、現実のマイクロフトはあんなに優しくはないので、このマイクロフトはシャーロックの願望と考えられます。

SHERLOCKシーズン2

いつもは厳しいお兄ちゃん
© 2011 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン2

マイパレのマイクロフトは、薬漬けになった弟をあからさまに心配します。
つまり、本当はマイクロフトに心配してもらいたい、というシャーロックの気持ちが現れているのではないでしょうか。

怒ってはいない、と言われて思わず安心してしまうシャーロック。
実際には自分が言わせているに過ぎないけれど、それでもついぽろっと安堵の気持ちが零れ落ちたところに、シャーロックの兄に対する好意が感じ取れます。

反面、マイクロフトに「自分のせいだ」とも言わせているシャーロック。
自分がこうなった責任を押し付けているようにも見え、駄々をこねる子供のような、兄に対する甘えの部分も出てきています。

兄への期待や願望、そして劣等感がマイパレ内では素直に滲み出し、モリアーティの存在を感じたときにはしっかり、マイクロフトに忠告する役を演じてもらっているところに、弟らしいシャーロックを感じられると思います。

現実に戻った時、どんなに憎まれ口を叩いても、シャーロックはマイクロフトのことを心の中では必要としていることが分かりました。
逆に、マイクロフトもちゃんと弟のことを心配しています

ちぎられたリストを心配そうに、大事そうに拾い手帳に挟む様は、まさに兄のそれ。
お互いに素直になれない兄弟の関係に、そのシーンを観るほどに目頭が熱くなってきます。

マイクロフトについては「死」にまつわる不穏な憶測も飛び交っていますが、その辺りはシリーズ本編から詳しく考察している方々がいますので、気になる方はぜひ調べてみてください。
手帳のメモについても、驚くばかりの考察があったりします。おもしろい!し、そもそも頭の出来がわたしと違うわ

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お兄ちゃんもちゃんとシャーロックのこと心配してるよ
© 2014 HARTSWOOD FILMS LTD.A HARTSWOOD FILMS PRODUCTION FOR BBC WALE CO-PRODUCED BY MASTERPIECE,DISTRIBUTED UNDER LICENCE BY BBC WORLDWIDE LTD. 出典:SHERLOCKシーズン3


……そんなこんなで後編と銘打ちましたが、すみません、まとめきれませんでしたw
もう一遍、もう一遍だけ続けさせてください!「SHERLOCK」に対する愛ゆえ!愛ゆえです!

次回は 宿敵と親友編 です。
すぐに更新いたしますので、もう少々お待ちくださいませ~。

宿敵と親友編 へつづく~

※ベネディクト・カンバーバッチ出演の映画・舞台について、他記事でも触れています。チェケラッ!

アカデミー賞を前に!2015年傑作品、見逃していませんか?

世界最高峰の舞台を身近に!ナショナル・シアター・ライブ

「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」

時は1985年のロンドン。死んだはずの女性が生き返り、夫を殺すという背筋の凍るような事件が起きた。その女性は花嫁の格好をしていたという。「忌まわしき花嫁事件」の幕開けである。そんな中、ベーカー街221Bに住むシャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの元へひとりの依頼人がやってきた。カーマイケル夫人は夫の様子がおかしい理由とその真相を明かしてほしいと言う。彼女の夫が呟いた名は、エミリア・リコレッティ。そう、あの「忌まわしき花嫁事件」に繋がる依頼だったのである……。

 

監督ダグラス・マッキノン(英語版) 脚本スティーヴン・モファット、マーク・ゲイティス 原作アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズシリーズ」
制作総指揮スティーブン・モファット、マーク・ゲイティス、ベリル・ヴァーチュー(英語版)
出演者ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、マーク・ゲイティス、アマンダ・アビントン、ルパート・グレイヴス、ルイーズ・ブリーリー、アンドリュー・スコット

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外部ライターのAzです。洋画・洋ドラの情報発信を中心に、世の中の興味あることをゆるく適当に書いていきます。

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